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研究ノート

note26 介護現場の「困った利用者」にどう向き合うか? 「発達障害」を中心に(2) 20200206

<シリーズ2回目>
○「発達障害」の理解
「困った利用者」と思われる筆頭株は、「発達障害」を有するとされる人となるでしょうか。
2005年4月1日に施行された「発達障害者支援法」。障害者の権利条約、その暫定的国内法である「障害者差別解消法」施行にあわせて2016年に早期発見・適切な発達支援をめざす内容などを盛り込んだ内容に改正されました。
介護保険サービスなどの公的な法内制度においては、基本的にこの法に基づいて「発達障害」を有するとされる人への対応をしていかなければなりません。「発達障害」の定義、支援に関する基本理念、国・地方公共団体の責務、国民の責務、そして改正によって、地域での生活支援、権利利益の擁護、家族などへの支援、民間団体への支援などが明記されているからです。
この法で定義されている「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」という障害名称などは、新しい精神科の診断基準(医療者が現場で一般的に使っている「DSM-5」)で、総じて「神経発達症/障害群」とされ、自閉スペクトラム症/障害、注意欠如多動症/障害、限局性学習症/障害などに変わり、診断の基準も日常の社会生活における困難さをベースとされるようになっています。これまでの広汎性発達障害(自閉症、ADHDを包括)やアスペルガー障害などの名称は消滅しました。
支援法が改正され、文科省や厚労省がその改正を啓発する努力をしても、お膝元の学校教育や医療・福祉・介護などの現場では、なかなか理解が進まないのが実情です。これは、なぜでしょう?
「神経発達症/障害群」について理解することは、どうしても面倒でやっかいなことと感じてしまいます。
確かに、「神経発達症/障害群」の理解には「やっかいな壁」があります。例えば「生存バイアス」と言われるもの。昭和〜平成を生きてきた私たちはどうしても「フツーは…」「○○でないと将来困るよ」といった「狭い許容範囲」でマジメに生きること(それを子どもや他者に求めること)を「美徳」と考え、あるいは「良き指導」、「良き支援」と思い追い込み、「フツー」意識に対して疑問を持たない人が多数おられます。
「みんなちがって、みんないい」を否定する人は少ないでしょう。ではなぜ、この「やっかいな壁」が低くならないのでしょうか?
みなさんの回りに、次のような人は沢山おられるはずです。
<変わった人、やっかいな人、回りが困る人、他者に迷惑をかける人、すぐに怒る(キレる)人、不必要に声の大きな人、周囲に配慮できない人、社会のルールを守らない人、人の話を聞かない人、自分が正しいと主観を押し付ける人、陰で悪口を言う人、嘘を平気でつく人、相手が怖がる(気持ち悪がる)人、欲深い人、コロコロと考えが変わる人、衝動的に買い物をしてしまう人、空気を読めない人、落ち着きのない人、同じものをいくつも揃えておく人、融通が利かない人、じっとしていることができない人、物を捨てられない人、ガチガチにルールを守ろうとする人、声の音量調節ができない人、内緒話をすぐにばらしてしまう人、ケチな人、約束を守れない人、マイペース過ぎる人…>
上記の例で、前半と後半で違いがあることに気づかれますか? どちらも、本人は「これがフツー」と思って行動しているでしょうが、周囲が「迷惑」と感じてしまうタイプの人と考えられます。そして、前半は性格や考え方・態度に問題がある人、後半(コロコロと考えが変わる…以降)は脳の機能的違いなどによってそうした認知や行動が生じてしまう人と分けて考えることができます。「社会」が期待する考え方や行動の範囲を超えた(と多数派の人が考える)ところがあるので、「困った人」になってしまいますが、独特の感じ方、考え方、行動の仕方があるだけです。「社会」が寛容であれば「変わったところのある人」、むしろ「ユニークで興味深い人」として重宝される人となります。実際に、技術開発、基礎研究、文化・芸術、制度・体系の維持・管理などの分野で、時代を拓き、社会を守る役割を中心的に担って来た人たちの多くが、診断を受けるとすれば「神経発達症/障害群」となるかも知れません。みなさんがよくご存じの著名人で、診断をカミングアウトして活躍されている方が多数おられます。なかなかの「変わり者」ばかりではないでしょうか?
法に触れるような迷惑行為であれば質されなければならないでしょうが、そうでなければ、その人の基本的人権が尊重され、持てる能力が発揮される場を保障しなければなりません。

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