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研究ノート

note27 介護現場の「困った利用者」にどう向き合うか? 「発達障害」を中心に(3) 20200206

<シリーズ3回目>
○合理的配慮をすべての障害者、高齢者に
65歳までに「障害状態」と認定されている方は(障害者総合支援法では)「障害者」として基本的に扱われます。認定を受けるかどうかはその人次第です。介護保険サービスの対象となる65歳を越えた高齢者の多くが、視覚、聴覚、歩行などの運動機能、認知機能、生活習慣病などの内疾患などなど、何らかの「障害状態」にあるのではないでしょうか?
2016年にスタートした「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)では、障害者を、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と規定し、障害者手帳の有無に関係なく「日常生活又は社会生活を営む上で障壁となる」ものによって「相当な制限を受ける」障害がある者と定義されています。
同法は国及び地方公共団体に、「障害を理由とする差別の解消の推進」に向けた施策策定とその実施、国民に対しても「障害を理由とする差別の解消の推進に寄与する」ことを求めています。
具体的には、差別的取扱いの禁止、障害者から社会的障壁の除去への意思表明があった場合に「当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮」をしなければなりません。
また、各種サービスを提供する事業者にも同様の努力義務が課せられています。
日本政府は2014年に国連の「障害者の権利に関する法律」を締結し、国連に批准書を寄託していて、障害者の権利の実現に向けた取り組みがさらに進められようとしています。
長生きをすれば、誰もが「障害状態」となる、と言えば言い過ぎでしょうか。障害のある人への合理的配慮、そして何より人権の尊重を大切にした社会は、すべての人に優しい社会であると言われます。

○「同調圧力」を求める「教師/指導者」的な支援者にならないために
元号は平成から令和とやらに変わったようですが、日本の義務教育(初等・中等教育)を受けて育った人は、「みんなと同じように」「他の人に負けないように」を是とする意識が染みついていないでしょうか? 「空気を読む」ことが求められ、忖度が政治の場であからさまに行われ、モンダイとして改善される気配すらない同調圧力の中を息苦しく生きていることに馴染んでしまっているようです。 発達障害の人たちが最も理解に苦しむ価値意識です。
こうした空気や価値意識を「生存バイアス」と言います。「○○でないと生きていけないよ」「あなたのためを思って言ってるのよ」などと、日常的に使う言葉になっていませんか?
介護保険サービスは、財源を理由にした点数制限制によって、「あてがいの支援(サービス)」になっているとの批判がありますが、ここでも制度のモンダイだけでなく「同調圧力」や「生存バイアス」が働いているように思えます。
利用する個人の価値観や願いを差し置いて、「フツー」「○○だから仕方ない」といった価値観でサービスが組み立てられ提供されているという懸念がぬぐえません。
障害や介護分野に限らず、教育や医療、行政においても、どこかに、利用者個人を「制度を知らない人」「わがままばかりを言う人」と考え、指導的立場で既存の枠に「良かれ」と思って押し込めようと…。制度、仕組みが非人間的なものになっているところもあるので、仕方ないのでしょうが。
利用者が亡くなられた時、相続を協議する時など、その人への支援や介護が、「その人が求めたものだったろうか?」「家族・親族は納得できるものだったろうか?」と考えます。また、自分自身が将来「そうした支援や介護を受けたいと思うのだろうか?」と考えます。
まだ少し時間がありそうなので、今、それまでに「できることをやっておきたい」、そう考える人が多数派になる時代を築けるように努力を惜しまないでいたいと思います。

※シリーズの最終回として、発達障害を理解する上で推薦したい図書を一つ。
『発達障害—生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』/本田秀夫:著/SB新書/2018.12
当事者理解のために、ASDとADHDの重複やそれぞれの濃淡のグラデーション、環境調整を中心とした関わり方などがわかりやすく記されています。

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